特定技能「介護」の外国人の受け入れ施設から要件・試験・手続き
作成日:2024年10月14日
武藤拓矢
特定技能・技能実習スペシャリスト
外国人技能実習制度の管理団体で5年勤務し、その後2019年に合同会社オルゴニール(Orgonir)を立ち上げる。
延べ700名を送り出した実務経験から、制度の理解と外国人人材の現場オペレーションに強みを持つ。
製造業・工場と建設業については業界トップクラスの経験の持ち主。
特定技能介護の受け入れが可能な施設
画像出典:技能実習「介護」における固有要件について
特定技能介護は、日本国内で急増する介護ニーズに応えるため、外国人労働者が働ける新たな制度として注目されています。
この資格を持つ介護人材を受け入れ可能な施設は、大きく6つの種類に分類されます。
- 児童福祉法関係の施設・事業
- 障害者総合支援法関係の施設・事業
- 老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
- 生活保護法関連の施設
- その他の社会福祉施設等
- 病院又は診療所
施設①児童福祉法関係の施設・事業
児童福祉法に基づき、子どもの健全な成長や福祉支援を行う施設は、特定技能介護の受け入れが可能です。主に、発達支援施設や療育施設などが含まれます。
施設②障害者総合支援法関係の施設・事業
障害者総合支援法に基づく施設は、日常生活のサポートを行う場であり、介護人材の必要性が高まっています。ここでは特に、日常生活や就労支援を行う施設が受け入れ対象です。
施設③老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
高齢者施設やデイサービスなどがこのカテゴリーに含まれ、主に身体介護を担う特定技能介護人材が活躍する場です。
施設④生活保護法関係の施設
生活保護法に関連する施設では、生活困難な方々の支援を行っており、特定技能介護の受け入れが可能です。
施設⑤その他の社会福祉施設等
地域包括支援センターや福祉センターなど、地域社会に密着した福祉施設でも、特定技能介護の人材が求められています。
施設⑥病院又は診療所
医療提供を行う病院や診療所は、特定技能介護の受け入れ対象となります。
特定技能介護の受け入れの固有要件
特定技能の介護には、「介護固有要件」と「技能実習評価試験」があります。
要件①介護固有要件
コミュニケーション能力の確保
1年目(入国時)は「N3」程度が望ましい水準、「N4」程度が要件。2年目は「N3」程度が要件となります。
適切な実習実施者の対象範囲の設定
- 「介護」の業務が現に行われている事業所を対象とする(介護福祉士国家試験の実務経験対象施設)ただし、技能実習生の人権擁護、適切な在留管理の観点から、訪問系サービスは対象としない
- 経営が一定程度安定している事業所として設立後3年を経過している事業所が対象
適切な実習体制の確保
受入れ人数枠 | 受入れることができる技能実習生は、事業所単位で、介護等を主たる業務として行う常勤職員(常勤介護職員)の総数に応じて設定(常勤介護職員の総数が上限)。 |
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技能実習指導員の要件 | 技能実習生5名につき1名以上選任。そのうち1名以上は介護福祉士等。 |
入国時の講習 | 専門用語や介護の基礎的な事項を学ぶ |
夜勤業務等 | 利用者の安全の確保等のために必要な措置を講じる。 |
監理団体による監理の徹底
- 監理団体の役職員に5年以上の実務経験を有する介護福祉士等を配置
- 「介護」職種における優良要件は「介護」職種における実績を基に判断
要件②技能実習評価試験
移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化
一定のコミュニケーション能力の習得、人間の尊厳や介護実践の考え方、社会のしくみ・こころとからだのしくみ等の理解に裏付けられた以下の業務を、移転対象となります。
必須業務 | 身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等) ・関連業務=身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等) |
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周辺業務 | その他(お知らせなどの掲示物の管理等) |
適切な公的評価システムの構築
各年の到達水準は以下のとおりです。
1年目 | 指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル |
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3年目 | ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル |
5年目 | 自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を実践できるレベル |
技能実習生に関する要件
技能実習制度本体(主な要件)
- 18歳以上であること。
- 技能実習の目的を理解し、その内容に意欲的に取り組もうとする人であること。
- 帰国後に、実習で身につけた技能を必要とする仕事に就く予定があること。
- 企業単独型技能実習の場合には、実習を受ける人が申請企業の外国事業所で常勤しているか、密接な関係にある外国機関の事業所からの転勤または出向者であること。
- 団体監理型技能実習の場合には、実習する業務と同じ内容の仕事を外国で経験したことがある、もしくは技能実習が特に必要な事情があること。
- 団体監理型技能実習の場合には、本国の公的機関から推薦を受けていること。
- 過去に同じ技能実習の段階を経験していないこと。
介護職種
技能実習制度本体の要件に加えて、以下の要件を満たす必要があります。
- 技能実習指導員には、介護福祉士の資格がある人、またはそれと同じ程度の専門知識と技術を持つ人(看護師など)が1人以上含まれている必要があります。
- 技能実習生5人に対して、1人以上の技能実習指導員がいることが求められます。
- 実習を行う事業所は、居宅訪問を除く介護業務を行う施設である必要があります。
- 実習を行う事業所は、開設してから3年以上経過していることが条件です。
- 実習生に夜勤や少人数での作業、緊急対応をさせる場合は、利用者の安全を確保するために必要な対策を取ることが求められます。
- 実習生の数が事業所の基準数を超えないようにする必要があります。
- 実習生が入国後に受ける講習には、日本語学習(240時間。N3程度の日本語を持つ人は80時間)と介護の基礎講習(42時間)が含まれ、講師には特定の資格や条件が求められます。
特定技能介護の外国人を雇用・採用するには
特定技能で外国人を雇用する場合、日本の生活をスムーズにするために10項目の就労・生活支援が義務付けられています。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続き等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
上記の手続き含め「自社で支援を行う」方法と「登録支援団体に依頼する」方法があります。
どちらも一長一短がありますので、まずはお問い合わせいただき相談することをおすすめします。
特定技能介護の委託におすすめの支援団体3選
最後に介護領域においておすすめの特定技能支援団体を3社ご紹介します。
いずれの登録支援団体も、介護領域について強みを持つ企業です。
支援団体①合同会社オルゴニール
2019年に創業した特定技能支援団体で、代表・武藤は特定技能の前身となる技能実習制度の経験も豊富で、外国人人材の受け入れ支援には深い知識と実務経験を持っています。
ベトナム・インドネシアに協力機関があり、意欲ある人材の採用に注力しています。
また、介護・建設・製造・工場の特定技能支援の実績豊富なため強みがあります。
会社名 | 合同会社オルゴニール |
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認定番号 | 19登-0002784 |
住所 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿3丁目3番13号西新宿水間ビル2F |
実績 | 724名(2024年10月時点) |
強み | 建設業・製造業・工場・介護の業界について経験豊富で、技能実習制度から外国人人材の支援をしていることから、2年以内の離職率が3%と驚異の人材定着率を誇ります。 |
URL | https://orgonir.com/ssw |
支援団体②株式会社ONODERA USER RUN
株式会社ONODERA USER RUNの特徴は、4ヶ国に教育機関を備えている点です。
特定技能支援のみならず教育機関まで兼ね備えている特定技能の会社は珍しく、唯一の強みといっても過言ではありません。
実績も豊富なため、「多少高くても実績豊富な支援団体を選びたい」という企業にはおすすめの登録支援団体です。
会社名 | 株式会社ONODERA USER RUN |
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認定番号 | 19登-002131 |
住所 | 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-1-3 大手センタービル5階 |
実績 | 3,821名超え |
強み | 海外に教育機関を持ち、教育から特定技能制度の人材紹介まで一気通貫体制を整えています。延べ就労者数も3,821名を超え、実績も豊富です。 |
URL | https://onodera-user-run.co.jp/ |
支援団体③ポールトゥウィン株式会社
東証プライム上場企業のPTWホールディングス傘下の特定技能支援団体である「stepjob」は、企業の財務体制は盤石です。
特定技能のみならず、人材紹介・派遣事業を主軸として活動しており、特に医療・介護人材領域に強みを持ちます。
会社名 | ポールトゥウィン株式会社 |
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認定番号 | 22登ー006911 |
住所 | 〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3AKSビル |
実績 | 不明 |
強み | 親会社が東証プライム上場企業のため、問題発生時の対応は安心です。 |
URL | https://onodera-user-run.co.jp/ |
まとめ
- 受け入れが可能な施設に該当するか確認する
- 特定技能介護を活用するには「技能実習要件・介護固有要件・技能実習評価試験」の基準をクリアする必要がある
- 特定技能介護で雇用する10項目の支援を行う必要がある