登録支援機関なしで特定技能を自社支援する方法とは?要件・メリット・注意点を分かりやすく解説

特定技能制度において、受け入れ企業が登録支援機関を利用せず、自社で外国人への支援を行う「自社支援」という選択肢があります。支援委託費を削減できる一方で、制度上の要件や運用体制を自社で整備する必要があります。本記事では、自社支援の要件、メリット・デメリット、手続き方法、制度改正のポイントまでをわかりやすく解説します。

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登録支援機関くらべナビ

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広報担当

元登録支援機関での実務経験をもとに、外国人支援や企業対応の現場で見聞きした内容を踏まえ、登録支援機関に関する情報をお伝えしています。制度の特徴や支援内容の傾向、選定時の参考となる視点などを、できる限りわかりやすく解説しています。

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自社支援とは?登録支援機関との違い

自社支援とは、企業自身が特定技能外国人に対する義務的支援10項目を直接実施する運用方法です。通常は登録支援機関に委託することが多いですが、所定の条件を満たす企業であれば、外部に頼らず社内で支援を完結することが可能です。

自社支援が可能な企業の要件

自社支援を行うには、以下のような制度上の要件をすべて満たす必要があります。

  • 過去2年以内に中長期在留者を適切に受け入れた実績がある
  • 社内に支援責任者および支援担当者を配置している
  • 外国人が理解できる言語で支援できる体制がある
  • 支援内容を記録し、一定期間保管する仕組みがある
  • 企業として法令違反等がなく、適正な雇用管理ができている

自社支援のメリットとデメリット

自社支援にはコスト面などの利点がある一方で、制度運用の責任が重くなる側面もあります。

  • メリット:支援委託費用(月1〜2万円程度/人)が不要。自社の判断で柔軟な支援が可能。ノウハウを社内に蓄積できる。
  • デメリット:制度や法令に対する理解が求められ、人的リソースの確保が必要。対応ミスがあると行政指導や不許可のリスクがある。

自社支援への切り替え方法と届出手続き

登録支援機関を利用中の企業が自社支援に切り替える場合、必要な書類を整えて出入国在留管理庁へ届け出る必要があります。

  • 支援計画の変更に係る届出書
  • 新たに作成した支援計画書
  • 支援責任者・支援担当者の履歴書・誓約書
  • 所属機関概要書
  • (登録支援機関と契約終了済みの場合)委託契約終了届

制度改正(2025年施行)に伴う変更点

2025年4月の省令改正により、自社支援企業に求められる対応にも変更がありました。以下の点を押さえておきましょう。

  • 定期届出は年1回に簡素化(初回は2026年4月以降)
  • 支援困難事由が発生した場合、速やかに「随時届出」が必要
  • 協力確認書などの提出が義務付けられ、地域共生活動との連携も求められる

自社支援が向いている企業・向いていない企業

自社支援の可否は、企業の規模や社内体制により判断する必要があります。

  • 人事・総務部門に支援を兼任できる人材がいる企業には向いています
  • 外国語対応が難しい、支援の経験がない、支援人数が多すぎる企業には向いていません

特定技能の自社支援に関するよくある質問

Q. 自社支援でも在留資格の取得は可能ですか?

A. はい。所定の要件を満たせば、登録支援機関を使わずに支援計画を提出し、自社支援として在留資格申請が可能です。

Q. 要件を満たしていないことが判明したらどうなりますか?

A. 支援体制や記録に不備があると、在留資格の更新拒否や是正指導の対象となる可能性があります。定期的な見直しと記録の整備が必要です。

Q. 登録支援機関に後から戻すことは可能ですか?

A. 可能です。支援計画の変更届出などを提出すれば、再び外部機関への委託方式に戻すことができます。

まとめ|自社支援は費用と責任を自社で引き受ける選択肢

自社支援は、コストを抑えつつ企業独自の支援体制を構築できる点で魅力的な制度ですが、運用ミスが許されない責任の重い方式です。

制度を正しく理解し、体制が整っている企業は自社支援を検討する価値があります。一方で、支援の実務に不安がある場合は、登録支援機関への委託も引き続き有効な選択肢です。