登録支援機関への一部委託とは?制度概要・委託要件・メリット・届出まで徹底解説

特定技能制度では、受入れ企業(所属機関)は義務的支援を行う必要があります。ただし、すべてを自社で実施する必要はなく、必要な部分だけを「登録支援機関」に委託する一部委託が認められています。

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登録支援機関くらべナビ

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広報担当

元登録支援機関での実務経験をもとに、外国人支援や企業対応の現場で見聞きした内容を踏まえ、登録支援機関に関する情報をお伝えしています。制度の特徴や支援内容の傾向、選定時の参考となる視点などを、できる限りわかりやすく解説しています。

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一部委託とは何か?制度的な位置づけ

「一部委託」とは、義務的支援10項目のうち、一部の支援業務のみを登録支援機関に外注し、残りを自社で実施する形式をいいます。完全委託や自社支援との中間的選択肢です。

法的根拠と要件(2025年省令改正対応)

出入国在留管理法及びその施行規則により、支援業務の全部または一部を登録支援機関に委託できると明記されています。2024〜2025年の改正により、一部委託が明確化され、届出方法も更新されています。

一部委託が可能な支援業務の例

以下の義務的支援のうち、企業が自社で対応困難な領域を委託可能です。

  • 住居確保・契約支援(保証人代行など)
  • 空港送迎・通訳支援
  • 生活オリエンテーションや相談窓口の設置支援

自社支援との違いと選択基準

次の基準のうちすべてを満たす企業は、自社支援を選択できます。

  • 直近2年間に中長期在留者の受入れ実績がある
  • 支援責任者・担当者が社内にいる
  • 対応言語・相談体制が整っている

ただし、マンパワー不足や専門対応の必要性がある部分のみを一部委託する方法が現実的です。

一部委託のメリットと注意点

一部委託のメリットは以下の通りです。

  • 専門性の高い支援業務を外注し、社内負担を軽減できる
  • 完全委託ほどコストがかからず柔軟性が高い
  • 法令に基づく支援要件を満たしながら自社ノウハウの蓄積も可能

注意点としては、以下の点が重要です。

  • 委託範囲を支援計画や契約書で明確に記載する必要がある
  • 自社が実施する支援体制の整備や継続的な実施責任は企業にある
  • 制度改正に伴う届出(支援計画変更届出等)を迅速に行う必要がある

委託範囲の変更と届出手続き

一部委託から完全委託、自社支援への切り替えには、出入国在留管理庁への届出が必須です。以下の書類が必要となります。

  • 支援計画変更届出(様式第3‑3‑1号等)
  • 契約変更に関する書類(様式第1‑25号等)

登録支援機関選びのポイント

一部委託に対応できる登録支援機関を選ぶ際は、以下の点をチェックしましょう。

  • 委託可能範囲が柔軟であるか
  • 対応可能な言語(ベトナム語、タガログ語等)が豊富か
  • 届出や記録の代行支援実績があるか
  • 行政書士との連携や法令知識に強みがあるか

企業が運用する際の最新注意点(2025年改正対応)

2025年4月の省令改正により、以下のような制度変更がありました。

  • 定期届出が年1回提出へ統一(2026年4月から)
  • 届出様式が統合され、よりシンプルに
  • 支援実施困難や基準不適合時の報告義務が新設
  • オンライン申請・電子届出要件を満たせば書類省略可能

特定技能の登録支援機関 一部委託に関するよくある質問

Q. 一部委託できる業務は?

A. 義務的支援項目のうち、例えば住居支援・送迎・相談対応の一部だけを外部委託できます。自社支援できる部分は自社で実施します。

Q. 必ず届出が必要ですか?

A. はい。委託範囲を変更する場合は、「支援計画変更届出」や「委託契約変更届出」が14日以内に必要です。

Q. 自社支援の要件が不十分ならどうすればよいですか?

A. 自社支援要件を満たすには、人員・体制・実績が必要です。それが難しい場合は登録支援機関に全部委託する選択もあります。

まとめ|一部委託は柔軟性と自社運用の両立を可能にする選択肢

登録支援機関への一部委託は、自社で対応可能な業務と専門的業務を切り分け、効率的に制度対応できる柔軟な方法です。2025年の制度改正に伴い、支援計画の変更や届出制度が更新されたため、透明性と正確性を持った運用が求められます。

自社支援と外部委託を適切に組み合わせ、法令遵守と支援の充実を図ることで、外国人受入れの成功と定着につながります。