特定技能と技能実習の違いとは?制度の目的・在留資格・転職・支援内容まで徹底比較

外国人を雇用する制度として代表的な「技能実習」と「特定技能」。どちらも日本の企業で働くことができる在留資格ですが、制度の目的や条件、雇用の自由度などに大きな違いがあります。

本記事では、特定技能と技能実習の違いを制度の基本から、対象分野・就労条件・転職の可否・支援体制・永住との関係までわかりやすく比較します。

本記事には一部広告が含まれますが、掲載内容は当サイト独自の調査・編集方針に基づいて作成しています。

登録支援機関くらべナビ

登録支援機関くらべナビ

広報担当

元登録支援機関での実務経験をもとに、外国人支援や企業対応の現場で見聞きした内容を踏まえ、登録支援機関に関する情報をお伝えしています。制度の特徴や支援内容の傾向、選定時の参考となる視点などを、できる限りわかりやすく解説しています。

登録支援機関くらべナビとは

制度の目的の違い

項目 技能実習 特定技能
制度目的 開発途上国への技能移転(国際貢献) 日本の人手不足分野への労働力確保
実際の運用 研修制度色が強く、働きながら学ぶ 即戦力としての実務に従事する

在留資格の種類と就労制限

項目 技能実習 特定技能
在留資格 技能実習1号〜3号 特定技能1号・2号
就労範囲 実習先企業のみでの就労 分野内での他社就労も可能(1号)
転職 原則不可(例外を除く) 一定条件下で可能(分野内)

対象職種と分野の違い

技能実習は80種以上の職種に対応しており、受入業種の幅が広いのが特徴です。

一方、特定技能は14分野(1号)に限定されており、人手不足が深刻な産業に絞られています。

  • 技能実習:縫製・食品加工・農業・漁業・建設・自動車整備など
  • 特定技能1号:介護・建設・農業・飲食料品製造・外食業など
  • 特定技能2号:建設・造船などの熟練分野

在留期間と永住の可否

項目 技能実習 特定技能
最長在留期間 最長5年(1号〜3号合算) 1号は最長5年、2号は期限なし
永住申請との関係 永住不可 2号なら条件次第で永住可
家族帯同 不可 1号不可、2号は可能

支援体制の違い(義務的支援)

技能実習には支援義務は明文化されておらず、主に監理団体による指導が中心です。

一方、特定技能1号には生活支援10項目の義務的支援があり、企業または登録支援機関が責任を持って実施する必要があります。

  • 生活オリエンテーション
  • 住居確保・生活契約支援
  • 日本語学習支援
  • 相談・苦情対応
  • 転職支援(離職時)

制度間の移行とキャリアパス

技能実習2号を良好に修了した外国人は、試験免除の特例(修了者特例)により特定技能1号へ移行が可能です。

この移行制度を活用することで、長期的に就労を継続することができ、企業側にとっても戦力維持に役立ちます。

特定技能と技能実習の違いに関するよくある質問

Q. 技能実習から特定技能へ切り替えることはできますか?

A. はい。技能実習2号を良好に修了すれば、特定技能1号へ移行可能です(試験免除あり)。

Q. 転職できるのはどちらの制度ですか?

A. 特定技能1号では分野内で転職可能です。技能実習は原則転職不可です。

Q. 永住を目指せるのはどちらの制度ですか?

A. 特定技能2号であれば、条件を満たせば永住申請が可能です。技能実習では永住資格は取得できません。

まとめ|特定技能と技能実習は目的も制度も大きく異なる

技能実習と特定技能は「外国人が日本で働く」という点では共通していますが、その制度目的・自由度・支援内容には明確な違いがあります。

技能実習は教育・研修を前提とした制度であるのに対し、特定技能は労働者としての在留資格であり、より実務的・就労者本位の制度設計となっています。

受け入れ企業は制度の違いを理解し、目的に応じて適切な在留資格の人材を選ぶことが重要です。